コールセンターのPDCAサイクルはなぜ回りにくいのか?
こんにちは!コンサルタントの山北です。
コールセンターにおいても、「PDCAサイクルを回す」という考えは今や当たり前になっています。しかし、現場の実態は「(上司から)PDCAと言われるができない…」という企業が実は非常に多いと感じます。今回はコールセンターのPDCAサイクルがなぜ回りにくいのか?を紐解いていきます。
目次
そもそもPDCAサイクルとは?
PDCAサイクル
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(評価)
- Action(改善)
の頭文字を取ったもので、Plan(計画)→Do(実行)→Check(評価)→Action(改善)を1連のサイクルで繰り返し行うことで、継続的に業務や運用の改善を促す手法です。コールセンター業界でも2000年以降良く聞くようになり、現在では一定規模以上のコールセンターでは日常的に聞く言葉となりました。
コールセンター運営における課題や問題点に対し、改善を進めていくためにPDCAサイクルが使われるケースが一般的かと思います。「PDCAサイクルの意味は理解しているし、PDCAサイクルに沿って進めていくべきということはわかっている。でもできていない。」という方も多いのではないでしょうか。
コールセンターではDo(実行)のみになりがち!?
私もコンサルタントとして日々様々なコールセンターの現場に訪問をさせていただきますが、実際にPDCAサイクルを効果的に回せている会社は少なく、形だけになっている、機能していないなどのケースを良く目の当たりにします。
PDCAサイクルが回っていないコールセンターの最も多い特徴として、「Do(実行)のみになっている」ということがあります。なぜDo(実行)のみになるのかは、いくつかのパターンが考えられます。
Do(実行)のみになるよくあるパターン
- 上司に言われたまま「やるだけ」になっている(目的や問題の本質が理解できていない)
- Plan(計画)がない、もしくは不十分
- Check(評価)→Action(改善)が行われていない
- 時間的な余裕がない(優先順位が下がっている)
- Do(実行)以外、どうやればいいかわからない
Do(実行)のみにならないために行うこと
訪問した現場のSVや管理者の方にお話を聞くと、「時間もないし、教えてくれないしどうやったらいいかわからない」という声が多く出てきます。
コールセンターのお仕事は「お客様の対応をすること」が主業ですので、時間的な余裕があるケースは稀です。また、お客様の質疑対応・エスカレーション対応・他部署への確認など「短期的に必ずやらないといけない仕事」も多く、PDCAサイクルのような「必ずやらないといけないわけではない仕事」はつい後回しになりがちです。そのため、時間捻出のために最初にやるべきことは、どのようなことがあるのでしょうか。
時間捻出のためにやるべきこと
- 現場SVや管理者の業務整理(月間(日)単位でのタスクと、タスクの頻度/時間の洗い出し)
- 業務の優先順位付け
の2点をお勧めしています。時間ができ、PDCAサイクルの優先順位を上げることで初めて着手できるのです。
また、時間の捻出ができても、PDCAの概念や理論を口頭で教えただけではPDCAサイクルは回りません。自転車に乗る練習と同じで、ペダルに足を乗せるタイミング、乗った後少し遠くを見る、最初は後ろで支えてあげるなど、できるようになるまでできる人が伴走して教えてあげることが重要です。
特にPlan(計画)、Check(評価)、Action(改善)は「自分で考えろ」と言ってもほとんどの人はできません。PDCAサイクルを回したことがあり、成果を出したことがある人がひとつひとつ伴走して教えることで少しずつできるようになっていきます。
Plan(計画)を効果的なものにするために
PDCAサイクルのPlan(計画)は、サイクルの起点となる非常に重要なポイントです。Plan(計画)をしっかり立てずにDo(実行)すると、効果がでない、結果が良いか悪いかわからない、Check(評価)できない、といった結果を招く可能性が高くなります。
- 目標を”定量的”に設定する(数字にする)
- 結果を”測定できるよう”に準備を行う
- 活動計画を”5W2H”で立てる
コールセンターのPlan(計画)とは?
目標を”定量的”に設定する(数字にする)
コールセンターによくある応答率などのKPIは既に定量的に計ることができるようになっているケースが多いですが、例えば「クロージングで不明点確認ができていない」ことを改善するためPDCAサイクルを回そうとする場合はどうでしょうか?こういうケースで、目標を定量的にせずにDo(実行)に進んでいるコールセンターは意外と多くあります。
改善しているかどうか、は誰が見ても客観的に理解・納得ができるように定量的に計測できる必要があります。そのため、改善したいことを「どうやったら定量的に計測できるか」を考えることは非常に重要です。それができていなければ実行しているオペレーターが改善の実感を得られなかったり、上司に報告したときに「ほんとに改善してるの?」と言われたりします。
改善できているかをCheck(評価)するためにも、必ず目標は定量的に設定しましょう。
結果を”測定できるよう”に準備を行う
定量的な目標を設定すると同時に、結果を測定するための準備をしましょう。上記の例であれば、1件の対応ごとに不明点確認ができていたかのセルフチェックシートを作るなどして、不明点確認の実施率を計測するなどして定量的に改善度が見えるように工夫が必要です。
応対履歴やコールリーズンを残すシステムで計測しても良いですし、システムがなければ紙ベースで計測することも可能です。
成功/失敗、やった/やってない、言った/言えなかった、など「〇/×」の基準を作り必ず定量的に計測できるように準備をしましょう。
活動計画を”5W2H”で立てる
何かの計画を立てるとき5W2Hを使いましょう、と言われるのと同様、コールセンターのPDCAも5W2Hを押さえて計画を立てることが重要です。
- 誰が(Who)
- いつ(When)
- どこで(Where)
- 何を(What)
- なぜ(Why)
- どのように(How)
- いくらで(How much)
定量的な計測、改善するための指導、システム側の準備など、PDCAサイクルを回すときには準備、実施に向けてやるべきことは多くあります。それらを抜けもれなく行うためにも、5W2Hを押さえて活動計画を立てましょう。
意外とできない!?Check(評価)とAction(改善)の定着
”やりっぱなし”に要注意
時間を捻出し、Plan(計画)を立て、Do(実行)までできた!そこで終わってはいけません。PDCAサイクルはCheck(評価)→Action(改善)まで行うことが非常に重要です。そして、コールセンターの現場はDo(実行)で終わっているケースが非常に多くあります。
これは前述のとおり、コールセンターの仕事は”短期的にやることが多い”ため、Do(実行)=終わり、になりやすいためです。Do(実行)までで終わってしまうと目的が果たせたのか、効果があったのか、良かった点・改善点がどこだったのかが分からないままになってしまいます。
Do(実行)で終わってしまうのは、SVや管理者が育たないコールセンターの特徴の一つでもあります。やりっぱなしで終わらないように注意しましょう。
Check(評価)→Action(改善)は”期限”と”場”を決めることが重要
「大事なのはわかるけど、どうやったら現場のSVでCheck(評価)→Action(改善)が定着するのかわからない…」というご相談は私たちにも良くいただきます。
重要なことは、5W1Hの中でも”期限(いつ)”と”場(どこで)”を決めることです。
PDCAサイクルを回すSV、管理者が、いつまでにCheck(評価)→Action(改善)を行い、どの場(会議など)で上司への報告が必要なのかをPlan(計画)の段階で決めておくということです。
日常的に管理するKPIに対するPDCAサイクルであっても、週次(週に1回)や月次(月に1回)で定例的に報告をする仕組みを作ることをお勧めします。定例で報告することになれば、報告から逆算してCheck(評価)のタイミング、Do(実行)の期間などが決まってきます。
PDCAサイクルを回すために必要な期間を意識して”期限”と”場”を決めることを意識してみてください。
最後に
いかがでしたでしょうか?皆さんのコールセンターをより良いものにする一助になれば幸いです。より具体的な悩みに対するご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので下記よりエントリーください。ご相談、お待ちしております♪
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記事を書いた人
Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。
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