やってみると難しい!コールセンターで数字管理を定着させる
こんにちは。コンサルタントの山北です。
「コールセンターの成果の管理はどのようにされていますか?」と聞くと、「KPIを設定して、PDCAを回しています」という回答が当たり前のように聞かれる時代になったなぁと最近感じます。それぞれのコールセンターでKPIが設定され、半年~1カ月のスパンで計画を立て(PLAN)、改善活動を実行し(DO)、効果検証し(CHECK)、是正措置を行う(ACTION)というサイクルを意識的に回し成績や成果を向上し続ける。理想的な姿だと思います。しかし、みなさんのコールセンターは実際にKPIや数字管理、PDCAサイクルを回すことができている、と自信を持って言えますか?それはどのような状態でしょうか?
私共は仕事柄、コールセンターがある現地にお伺いして、コールセンターのアセスメント(診断・評価)をよくさせていただきます。その際の管理職の方へのインタビューでは冒頭のように「KPIを設定して、PDCAを回しています」という回答をいただくことが多いのですが、現場でお客様対応をしているオペレーターさんに話を伺うと、「自分の成績ですか?何件取ってるかくらいしかわかりません。」といった回答が返ってくることが珍しくありません。KPIや数字の管理はSV以上の管理者層が理解し、管理すればよいのでしょうか?現場のオペレーターさんは自身の実績を把握、理解しなくても良いコールセンターは作れるのでしょうか?
目次
管理者だけがKPIを理解していても良いコールセンターにならない
そもそもコールセンターのKPIは応答率やCPH、業務によっては営業成績や顧客満足度などのKPIがありますが、これらの数字は誰が行動した結果でしょうか。もちろんオペレーターさんです。(教育や指導、支えるという意味では管理者の方も結果に貢献していると言えます)では、成果を出せるオペレーターさんはどういう方でしょうか?様々な理論や考え方があると思いますが、私は下記のように考えています。
スキル(能力) × モチベーション(意欲)
モチベーションが高くとも、スキルがなければ成果は出ません。同じく、スキルがあってもモチベーションが低く、スキルを発揮しようとしなければ成果は出ません。どちらかがゼロだと成果は全くでません。逆に、スキルもありモチベーションが高いオペレーターさんはほぼもれなく成果を出し、日々成長していきます。これまで様々な企業様へのご支援の中でそういった方を多く見てきました。
では、スキルやモチベーションに、KPIはどのように関わってくるでしょうか?KPIはモチベーションに大きく関わる要素になります。自分がやっている仕事の結果がKPIとして「可視化(見える化)」されることで、頑張りが目に見える、時には悔しい思いをすることでモチベーションに転換されます。頑張っていることが可視化されず抽象的なままであれば、褒められても何に対して言われているのかわからない、指導されても納得できないといった結果を生んでしまいます。
また、KPIという目指す目標が数字で示されることで、達成しようという意欲が湧いてくる方が多くいらっしゃいます。漠然と業務を行うより、具体的に目指す目標が提示されることで「明確に追いかけるものがある」という状態を作り、日々の業務に対するやりがいを作ることができます。KPIは今の自分の実力や状況を可視化してくれ、業務へのモチベーションを上げてくれる重要な要素ということです。
KPIや数字はモノサシであり、業務やオペレーターに合わせた目盛りが必要
「月1回の面談でオペレーターには数字をフィードバックしています。KPIも設定しています。」という方はもちろんいらっしゃると思いますが、そもそもそのKPIの計測方法や構造、なぜ重要なのかという点はオペレーターさんは理解されていますか?
現場でオペレーターさんから出てくるあるあるの意見で、「獲得〇%が目標と言われるけど、そもそもパーセントが良くわかっていない」「満足度80%以上と言われても、何件満足返信をもらえば達成できるのかわからない」といった声があります。
KPIも様々ありますが、特にパーセントの理解をされていない方が多く感じます。(いやいやまさか、、と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に多いです!)数字に触れる機会が多い管理者以上と、オペレーターでは数字への理解や感覚にギャップがあることが多い、ということです。そして、日々の会話や面談などの中ではその事実は「分かってないと思われたくない」「怒られるかも」といった理由によりオペレーターさんはこういった発言をあまりされません。
オペレーターさんの理解度を確認するため、みなさんならどうしますか?間違っても「ちゃんと理解してるよね?」といった質問では不十分です。上記にご紹介した理由で分かってなくても「はい」と言ってきます。また、分かっているつもりの方もいますのでこの質問では理解度は計れません。私が良く使う、オペレーターさんから理解度を引き出す質問の例をご紹介します。
(1)パーセントを使ったKPI(満足度、応答率、獲得率など)の理解度を確認する質問
(答え)5件中4件、もしくは10件中8件と回答があればOK
(2)CPHの理解度を確認する質問
(答え)6件と回答があればOK
これに答えることができない場合、ほぼ間違いなくKPIが正しく理解されていません。満足度80%というKPIを知っていたとしても、それは知っているだけで達成するためにどういう状態(結果)を作らなければいけないのかが理解されていないということになります。今これを見て、もしかしたら自分も理解できていないかもしれない…と思った方はすぐに自分で言えるか確認してみましょう。周囲のオペレーターさんや管理者に聞いてみるのも良いかもしれません。当たり前ですが、KPIや数字は正しく理解すること、つまりモノサシの目盛りを理解し計測できることが大切です。
そして、コールセンターの中にはどうしてもパーセントや数字が苦手な方がいらっしゃいます。そういう方にはその目盛りをチューニングしてあげましょう。パーセントが苦手な方がいたら、「今月の満足度目標は80%。5件の回答のうち、満足の返信を4件はもらうようにしようね!」「〇件に1件獲得すると達成できるよ!」といった形で要約、変換してあげてください。もしパーセントがどうしても理解できなくても、これであれば日々の業務の中で分かりやすくモノサシを持つことができます。これは一例ですので、今担当されている業務の特徴やオペレーターさんの理解度に合わせて運営されることをおススメします。
数字を定着させるには日々見えるようにする、聞こえるようにすること
一人一人が数字を理解した上で、数字を定着させるためにやるべきことがあります。お客様対応をしているオペレーターさんは、目の前のお客様対応を精一杯されていると思います。その中で数字を定着させるためには工夫が必要です。
それは数字を日々「見えるようにすること」「聞こえるようにすること」です。月に1回面談でKPIを伝えるだけではまず定着しません。
見えるようにする具体的な例
数字を日々見えるようにするというのは、「視覚に目標値・実績値が入ってくる状態を作る」ことです。
- ホワイトボードや掲示物にKPIの目標値と前日までの実績を更新し、オペレーター席から見えるようにする(数字、グラフなど)
- PC上の掲示板などでもKPIの目標値と前日までの実績が見えるようにする
- 実績が意識できるゲームやレクリエーションを企画する
- オペレーターの実績を週1回配布、配信する(例:オペレーター自身の目標と実績、達成率が書かれた紙を配布、など)
- 実績ランキングを掲示する
聞こえるようにする具体例
聞こえるようにすることというのは、「聴覚に目標値・実績値が入ってくる状態を作る」ことです。
- 朝礼で目標と前日までの実績を発表する
- 管理者がオペレーターさんの実績を確認し、声掛けする(「昨日までの実績で〇%になったから達成してるよ!」など)
- 面談で自分の目標、実績をオペレーターさんに言ってもらう(口から発して自分の耳に入る)
などなど、様々なやり方があります。コールセンターに合うやり方を考え、日々視覚的・聴覚的に数字が入ってくる状態・環境を作ってみてください。コールセンターの数字の定着は実はこういったちょっとした工夫の積み重ねがとても大切です。
最後に
今回はコールセンターで数字管理を定着させるポイントというテーマで書いてきましたが、私の経験上、数字の定着には高度なテクニックや、高価なシステムなどはほとんどの場合必要ないと考えています。ちょっとした工夫や質問の仕方でコールセンターの現場は大きく変えることができます。大切なことはそのコールセンターに合うやり方を見極めることです。
Cプロデュースでは今回ご紹介したようなコールセンターの数字管理、実績改善や運用支援実績が多数あります。KPI管理ができない、数字が良くわからないなどのお悩み、ご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーください。些細なことでもお気軽にご相談お待ちしています♪引き続きコールセンター業務に従事する皆様に活用いただけるブログを書いていければと考えておりますので、よろしくお願いいたします。
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記事を書いた人
Cプロデュースコールセンターコンサルタント/アウトソーサー企業、化粧品通販会社等でコンタクトセンターに従事。顧客とのコミュニケーション設計構築から現場運用、委託先パートナー企業の管理を得意とする。
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