私たちのコンタクトセンターの運用は古い!?他社の運用を知る方法
こんにちは。コンサルタント兼研修講師の井筒です。
今年の夏も暑い日が続ています。本当に暑い。こんなに暑い日が続くと、外に買い物へ行くのも嫌になります。ついついネット通販のサイトを開きポチリとしたり、電話1本で当日配達してくれるスーパーのフリーダイヤルへ電話をかけるがことが増えました。インターネットも気軽に注文できて良いのですが、欲しいアイテムが多いと入力するのが面倒になり、電話で注文をすることが多くなります。電話注文は話すだけで相手が全て入力してくれるので、私にとっては楽で、よく利用する手段です。
電話先のオペレーターに要件を伝えると、「あっ、この人台本(トークスクリプト)読んでいる」と感じたり、質問をすると、急に敬語が乱れたりする場面への遭遇も1度や2度ではありません。そんなとき私は「オペレーターさん頑張れ!」と思うと同時に、どんなトークスクリプトを、どんな風に使っているんだろう?と考えます。
皆様のセンターでも日々さまざまなツールを使用していると思いますが、トークスクリプトはどのように運用していますか?システム上で運用、利用していますか?それとも、紙に印刷して紙で使っていますか?今回はセンター運用におけるツール運用について考えて参ります。
私たちのコンタクトセンターの運用は古い!?
最新のコンタクトセンターシステムでは、内容が複雑ではない場合は、システム上の画面上にトークスクリプトのせ、オペレーターが読み上げることで電話応対を進めることが可能です。
しかし、お客様からの回答が多岐に渡ったり、応対が複雑になるセンターではこの対応ができません。全ての質問の回答やご要望が「yes」「no」で進めば良いでしょうが、多くのセンターでは「yes」「no」だけでは対応できない場面がほとんどです。また、オペレーターのPCスキルがコンタクトセンターシステムに追いついていない、管理者側がコンタクトセンターシステムの機能を使いこなせていない、、、そうなるとトークスクリプトや資料は、印刷して紙で持っている仕様を崩せないセンターも多くあります。
世の中、右を見ても左を見ても「DX」「DX」とDXの時代です。「今時、資料やトークスクリプトを紙で使用しているなんて古いんじゃない?」や「私が勤務するセンターは時代に取り残されているんじゃないか?」と、他のコンタクトセンターの運用はどうなっているのか?と不安になる方もいらっしゃいます。
コンタクトセンターのコンプライアンスを遵守していると情報を得ることが難しい
コンタクトセンターは特に、閉鎖された空間です。個人情報やクライアント企業の機密情報を多く取り扱うため、セキュリティが厳しい性質上、個人情報保護・機密情報漏洩防止の遵守のため、自社センターで運用している実情を他言しないように、コンプライアンスがしっかり遵守されています。
センターの管理者にとって、他のコンタクトセンターの運用・環境がわからないという状況は不安になります。人は多くの他者とおおよそ同じ環境や状況、行動をとると安心すると言われています。(これを「同調効果」と言います。)自身の所属する所属体が一般的にみてどのあたりに分類されているのか分からないと不安になるのです。
そして世の中はDXが進み新しいシステムやアプリが常に更新されています。多くの最新システムがどんどんアップされ目につきやすく、「新サービスの〇〇がイイ!」と良いところばかりクローズアップされます。新しい情報や技術がどんどん世の中に排出されると、自センターと比較対照が最新システムばかりになり、「私たちのセンターは他社より遅れている」という評価となってしまうのではないでしょうか。トレンドからみてどうなのか?わからないままでは、実態が見えず負のスパイラルから抜け出せないでしょう。そういった際に、参考にしていただきたい、他社のコンタクトセンター運用を知る方法をご紹介していきます。
他社のコンタクトセンター運用を知る方法
自社のコンタクトセンターの改善や、新しいコンタクトセンターの導入検討にあたり、競合や業界全体の動向を把握することは非常に重要です。
1. 業界レポートやホワイトペーパーの活用
- コンタクトセンター業界の専門調査会社が発行するレポートや、IT系メディアのホワイトペーパーなどには、業界全体の動向や成功事例が詳しく掲載されています。
- GartnerやIDCなどの調査会社が発行するレポートは、特に業界全体のトレンドを把握する上で役立ちます。
2. 競合企業のウェブサイトやIR情報
- 競合企業のウェブサイトでは、コンタクトセンターに関する情報が公開されていることがあります。
- IR情報(投資家向け情報)には、コンタクトセンターの規模や投資内容などが記載されている場合があります。
3. 展示会やセミナーへの参加
- コンタクトセンター関連の展示会やセミナーに参加することで、最新のテクノロジーやサービス、他社の取り組みなどを直接知ることができます。
- 業界のキーパーソンとの交流も期待できます。
4. 顧客体験
- 競合企業のサービスを利用し、顧客体験を通じてサービス品質や対応の良し悪しを評価します。
- ミステリーコール、ミステリーショッパー調査なども有効です。
5. 口コミサイトやSNS
- 業界特化型の口コミサイトなどを通じて、顧客からの評価や評判を収集できます。
- XやFacebook、InstagramなどのSNSで、競合企業のコンタクトセンターに関する情報を探してみるのも良いでしょう。
6. ベンダーへのヒアリング
- コンタクトセンターシステムやサービスを提供しているベンダーにヒアリングすることで、業界全体の動向や競合他社の事例などを知ることができます。
7. コンサルティング会社への相談
- コンタクトセンターの専門コンサルティング会社に相談することで、客観的な視点から競合分析や自社の課題解決策を提案してもらうことができます。
コンタクトセンター運用を調査するときに知るべき項目
- コンタクトセンターの規模:
人員数、取り扱う件数など - 対応チャネル:
電話、メール、チャット、SNSなど - 対応時間:
24時間対応、夜間対応など - 対応言語:
日本語のみ、多言語対応など - 利用しているシステム:
IVR、CTI、CRMなど - 導入しているAI技術:
チャットボット、音声認識など - 顧客満足度:
CSAT、NPSなどの指標 - 人材育成:
オペレーターの教育、キャリアパス - コスト構造:
人件費、システム費用など
調査時の注意点
- 自社の状況との比較:
他社の情報を鵜呑みにせず、自社の状況と比較し、何が自社にとって重要なのかを明確にすることが大切です。 - 最新の情報収集:
コンタクトセンター業界は常に変化しているため、最新の情報を収集し続けることが重要です。 - 法規制への対応、個人情報保護法など、関連する法規制を遵守しているか確認する必要があります。
最後に
他社と比較検討がしにくいのがコンタクトセンター業務。SVだった頃は私も「他のセンター」が気になっていました。今、現場を離れコンサルタント兼研修講師としてさまざまなコンタクトセンターに伺うようになり、第一線で活躍するSVやマネージャーとお話をすると言葉は違えど「他社」「他センター」と比較し、自社センターは他社より劣っている、、と言葉にするSVやマネージャーが多くいます。世の中はDXだらけですので、ニュースや情報番組を見ていたらそう思える気持ちも分かります。
しかし、組織体も組織が掲げる理念も、組織力も資金力も千差万別ですから、まずは、自社センターは何を目的にあるセンターなのか、自社センターの環境、状況を見つめることが重要です。DXが最適なのか、ハイブリッドが最適なのか、アナログが最適なのか、見えてくると思います。
そして、他社のコンタクトセンター運用を知ることで、自社の課題を明確にし、改善策を検討できます。さまざまな手段を組み合わせ、多角的に情報を収集し、自社にとって最適なコンタクトセンター運用を目指しましょう。
Cプロデュースではコンタクトセンターのアセスメントを提供しています。上記で触れた自社の理念やCSに即したセンター運用ができているかをコンタクトセンターの健康診断と称して客観的に診断しています。自社センターとして最適化されているか。お客様のためのセンターとして運用できているか、現状を知りたいなど、お悩み、ご相談がございましたら、オンライン無料相談(30分)を行っておりますので、下記よりエントリーください。些細なことでもお気軽にご相談お待ちしています。
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記事を書いた人
Cプロデュースコールセンターコンサルタント兼研修講師/外資系コールセンター・大手BPOに従事。小売り・金融業にも知見あり。新規教育研修の立ち上げ・人材育成課題解決に向けた取り組みを得意とする。
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